屋根の形状や材料はどうやって決めているのか??
第一は予算です。
予算的に出来る形状に、使える材料にと選別していくのが普通です。
なのでもし使いたい材料があるのならば最初で言っておかないと危険です。
なぜ最初なのかって??R+houseは構造計算を行います。
この時に屋根の材料で屋根荷重が大きく変わるからです。
簡単に言えば瓦とガルバリウム鋼板では荷重がまるで違ってきます。
100㎡の屋根面積である場合、瓦だと荷重が4,800キロになります。
4.8トンです。ガルバリウム鋼板だと500キロですから重量差は約10倍弱になります。
当然ですが構造体は大きさが変わっていく事になる。
重い物を支えるにはそれなりの材料が必要になるわけですから、価格も大きく上がる事になります。
また、耐震的にも重量がある場合、耐力壁の長さが増えます。
その事でも工事費は上がる事になる。
重たいと地震に対する補強が必要なんですね。
よって瓦は予算が無いと難しい事になります。
今度は「片流れの屋根が良い!!」ってなったら長く葺ける材料しか使えません。
また勾配を緩くとなっても葺ける材は金属屋根しかないって事になります。
なので片流れとなった場合はガルバリウム鋼板しか使えません。
この様に材料や屋根形状によって使える材料は決まって来るし、予算的には使える、使えないが出てくるわけです。
なのでこれは設計をする前に決めておかないと、途中での変更はまずできません。
もし変更する場合は設計自体を一度白紙にしないと後が大変な事になります。
まあ、構造計算をしていない場合は数字の根拠が無い分、判断もできないって事になります。
設計者は全ての事を考慮して屋根の形状や材料の選定をやっているわけです。
それを簡単に変更する事はありません。
なので要望がある場合は先にお話ししていただけるとそれはできませんとか、追加で工事費を頂く事になりますとか、大丈夫ですよとか判断する事にしています。
恐ろしい事を言う人がたまに居ますからね(笑)
たまに見るローコスト住宅のプラン。
部屋の数は普通の家と同じですが、価格を抑えるために普通の家に在ってローコストの家には無いものが有ります。
それは「収納」です。
予算を抑えるための手法かもしれません。
もしそれで家を建てて住み始めるとじわじわと不便さや不自由さが感じ取れるようになっていく事でしょう。
収納が無いので部屋に物があふれていきますからね(汗)
シューズクロークが玄関にはありません。
子供の靴や親の靴が所狭しと並んでいく事となる。
季節の靴など部屋の片隅などに箱で積まれる事でしょう。
当然ですが大きなクローゼットもありません。
そうなると寝室の壁にロープを張り、そこに吊り下げられることになるのは必定でしょう。
寝室はうっとうしい空間に早変わりです。
しかもクリーニング臭が充満する。
パントリーも無い。
買い置きの食料品や調理器具が色々な場所に分散されて置かれる事になる。
料理のたびに置いてある場所まで移動する事になります。
そうなると家事は大変です。
収納が無い分、色々な箱型の収納や家具屋の棚などを購入する事にもなります。
家にはお金がかかっていませんが変なところにお金がかかる。
しかも家具には化学物質の規制が無いので、凄い臭いを放ちます。
それを呼吸で肺に入れて体内に取り込む。
そして体調不良になる。
いわゆる「シックハウス」なんですが、実は安い家具が原因とかになる。
収納が無い事で色々な問題が生じてしまいます。
ローコストな家のプランを眺めながらいつもそんな事を考えます。
そこまでして家を建てるかな??そしてそれは正しい事なのでしょうか??
「この辺りの壁にニッチを付けたいのですが??」
「はい。分かりました。そこには何を飾りますか??」
「そうですね。ここは家族の写真を飾りたいですね」
「そうですね。玄関ですからそれが良いと思います。で、高さはどうされます??」
「ニッチの高さでしょうか??そうですね。どうが良いかしら・・・・」
「建築的に言えばドアの高さに合わせた方がスッキリと見えます」
「では、それで良いです」
「ドアの高さの2Mから下にニッチを作っておきますね」
これはよくある打ち合わせ風景です。
ニッチの高さをどうするのか??
普通はこの会話の中に出て来る「何かの高さに合わせる」が建築の常識です。
建築的には何かのラインを合わせる事がスッキリと納める鉄則なんですね。
でもこのニッチの場合は違います。奥様が家族の写真を飾りたいと言っている。
つまり、奥様は玄関で家族に「行ってきます」と「ただいま」を言いたいはずです。
こんな時には、自分は玄関のタイル面に立っている奥様の目の高さにひとつ、玄関ホールに上がった時の奥様の目の高さにひとつ、ニッチを作ります。
誰が何を見たいのか??
それで高さを決める。でもいちいち奥様の目の高さなど測ったりしません。
立っているときに大体の身長は分かりますから、それから推測していきます。
最近はニッチなどは勝手に作っていきます。
構造的な事などで出来る場所が限られて来るので、打ち合わせとかしても構造計算が終ったら難しくなったりするからです。
場所も高さも種類などもお任せですね。その方が上手く行きます(笑)
やっと建てた家。
収納もたくさんあって便利なんだけど、引っ越ししてちょっと気になっているのが「シューズクロークの臭い」って事。
子供の靴とかから臭いがしてくる。
雨の日なんて最悪で、玄関中にあの臭いにおいが充満している。
そこで対策としてやった事は消臭剤と芳香剤を置く事でした。
これも切れたら臭いがしてくるので、気を付けておかないといけません。
すぐに効果が無くなるので買い置きしておかないといけない。
住宅会社にも聞いてみたけど、
「換気扇を付けるぐらいでしょう」
との事でした。
根本的な解決は無いのでしょうか??
はい。有ります。
エッグパルプを貼ると良いですね!!卵の殻が臭い成分を吸収して、消臭してくれます。消臭剤では臭いの元が無くなるわけでは無いので、臭い成分は存在し続ける。
スプレー式の消臭剤などは元が「水」なのでかえって湿気を与えてしまい雑菌の温床になる可能性が高いでしょう。
「なんでも要望をおっしゃってください」
なんて始まるヒアリング。
これって非常に危険です。
特に要望をどんどん打合せ記録に書き写していくだけの打合せは危険度が高いでしょう。
本来ならば「資金計画」をしてから要望を聞くのが筋です。
どれだけ予算が有るのかが分からない状態で要望を聞くのは話が逆になっています。
しかも要望という名の「欲望」を聞きまくると言いたい放題の事ばかりになってしまうのは世の常ですね。
そして最後はお決まりの「予算オーバー」です。
資金計画をしっかり立てる事で、どのくらいの大きさの家が建てられるかが見えてきます。
建てる家の仕様がしっかりと決まっている会社であれば平均値で予算は組める。
大きさが決まれば、それを要望で大きくするという事は「予算を超えますよ」という意味になります。
つまり、要望は「お金は大丈夫でしょうか??」という質問で判断できるという事です。
「広いリビングが欲しいです」なんて言われても「今の予算では12帖ぐらいです。
それ以上広げると予算が足りません」となるわけです。
基本的には仕様変更はしません。理想の家の姿が壊れるからです。
そうなると大きさで調整するしかない。
予算が決まると家の大きさが決まる。
それが普通なんでしょうが世の中の住宅会社は全くの逆で動いているんですね。
色々な要望を聞いた後で資金計画を行う。
するとすでに予算を超えるプランが出来ていたりするわけです。
中には!!「怖くてお金の話ができない!!」みたいな営業マンが居たりしますからね。
お金の話がなかなか出て来ない場合は気を付けた方が良いと思います。
さて、予算で家の大きさが決まるって書いています。
この世の中は以前「大きな家が良い」という考え方が残っています。
でも、それはそれで危険なんですね。
子育てが終わった家には夫婦が二人って事になる。
そしてよく考えると子供が出て行った後の時間の方が長い事も分かります。
つまり、そんなに大きな家は不要であると言える。
どんな家を建てるのか??まあ、色々と夢や希望が有る事でしょうが「最後は二人」という事も頭に入れておかないと無駄な事に投資する事になります。
言っておきますがその投資の回収はできません(汗)
よく考えましょうね。
最近よく見かけるプランですが「玄関からトイレのドアが見えている」ってやつ。
面積の効率を考えての事でしょうが、玄関の中に人が入ってきている場合はトイレは非常に使いずらいという事になります。
「トイレを借りる人が家の中に入って行かないように玄関にトイレを作っています」
なんて言う人がいましたが「その家は誰の家なんですか??」って返したい。
大体、トイレを借りる人優先なの??家にトイレを借りに来る人なんているのでしょうか??自分は見た事も聞いたこともありません。
そんな事を想定しての設計はあり得ませんね。
それよりは家に住んでいる人がゆっくりとトイレを使えて、水道工事費が安くなるように設計した方が良いでしょう。
水周りをまとめて玄関から洗面所のドアが見える設計も見かけます。
これは年頃のお嬢さんとか居た場合、お風呂から上がって洗面所の外に出た瞬間にお客様と鉢合わせになる可能性が高いですね。
お互いが気不味い。
そんな設計はしない事にしています。
が、最近、チラシなどでよく見かけるプランになっていますから恐ろしいですね!!
経験の浅い設計者か、素人の営業マンがプランをしているのでしょう。
家は長い時間を過ごす場所です。全てが快適に過ごせないとダメでしょう。
設計上の問題で不快な事になるのはあまりよろしくありませんからね!!
色々な事を想定しての設計がいいですね。
だからお客様に「どうしますか??」って聞く事はあまり良い事ではないと考えています。
「うちの家は収納が少ないんですけど??」
「それはお客様からのご要望が無かったからですね」
「私が言わなかったのがいけないという事ですか??」
「そうですね。うちは注文住宅なのでご要望が無い場合は対応できません」
「それは変ですよね。プロの提案とかしていただけないのでしょうか??」
「システムが注文住宅なので・・・・・」
「・・・・・・」
こんな会話が行われているのは「注文住宅」って事で言われた通りに家を建てていく会社の様子です。
要望が無い事は設計しないって会社です。
この場合は、そんな会社を選んだ人が悪いと言えますね(汗)
自分の建てる家に理想のものが無いって事です。
なので言いなりに設計して建てていく。
住んだ人がどうなるのかは考えていません。
そんな失敗をしたくない人は、検討している会社の建てた家で、すでに人が住んでいる家を見に行く事が肝心ですね!!
どんな流れで家ができたのか??そこを聞いてみた方が良いでしょう。
「今度家を建てる場合はどうしたいですか??」
なんて聞いてみると、ここに色々な事が出てきた場合は「危険な会社」という事になります。
要望通りに建てられた家って事です(汗)
プロのアドバイスは入っていません。
責任を取りたくないので提案はしない。
会社の方針に従う事が大事で「家に暮らす人の事」などまでは考えない人なんでしょう。
同じ性能なら安い方が良いでしょう。
でも、同じ性能が有るとは思えないから、安い家は危険だと思いますね!!
今や量産メーカーの家は坪単価が100万円を超えています。
そんな中で坪単価が50万円以下だったり本体価格が1,000万円だったりする家が存在しています。
何が違うのか??全てが違うって事になります。
一度、ローコストメーカーと隣同士になって家をっ建てた事が有りました。
その家は建売でしたが、土地建物で2,500万円ほどです。
当時でうちの家の土地と家の総額が3,900万円ほどでしたから、同じ条件での事です。それで1,400万円も違う。
安かったのですぐに売れましたが、そこからが恐ろしかったです。
なんと引っ越す前にリフォームが始まった!!
窓にシャッターを付けたり、網戸を付けたりです。
外構工事もほとんどしてなかったので外構工事も同時に進んでいく。
リフォームが終ってやっと引っ越しです。
うちの現場で見学会をやりナイターをしているときに外に出てみてビックリします。
うちの家の中の音は全く外にはもれていませんでした。
ところが隣の家からは中の音やしゃべっている中身まで聞こえてきます。
つまり、断熱材が入っていないという事でしょう。
当然ですがサッシはアルミサッシでガラスは単板ガラスです。
外壁も一番安いものが使われていて壁のコーナー部分は板金での処理になっている。
まあ、安い仕様だからしょうがないですね。
給湯機もガスでした。
当然キッチンもガスでしょう。
光熱費が上がるだけですね。
家は安いけど光熱費が高い家です。
メンテナンス費用も掛かる家ですから、すぐに家に関わるお金は同じぐらいになってしまう事でしょう。
最後は高い家に変身します(汗)
「リビングダイニングで18畳あるんですけど、エアコンは何畳用が良いでしょうか??」
なんて電気屋さんで聞いた場合、
「18畳で木造でしたら18畳用より大きめがいいでしょう」
って事で18畳用か20畳用を勧められると思います。
理由は簡単で「売り上げが上がるから!!」です。
長期優良住宅の場合であれば「外皮計算」なるものを行っています。
これって新しい断熱基準で、家から熱がどれぐらい逃げていくかの計算です。
この基準をクリアしないと長期優良住宅には認定されません。
この計算をしていると1時間当たりどれだけの熱が逃げるか分かる。
それが分かるとエアコンの能力がどれぐらいで大丈夫かもわかります。
自分はその数字で計算してエアコンの大きさを決めています。
なので平屋の30坪の家だったら高性能エアコンの6畳用一台で十分です。
とあるメーカーの6畳用エアコンの定価は34万円で20畳用が61万円ですから、電気屋さんは計算をしないで大きさだけで売った方が良いわけです(笑)
お客様に6畳用で大丈夫だと伝えて電気屋さんに行くと必ず、「こんな小さいエアコンだとまるで効きませんから、畳数に合わせた方が良いですよ」
ってお店のマニュアル通りの話法で返されるわけですね。
まあ、それが普通でしょうからね。
我々技術者はちゃんと計算をして数字小で判断しますからね。
無駄なお金は使わせません。
世の中には裏側が有り、闇の世界が広がっています。
分かっているけど分からないふりをする。
それは誰のためなのか??
多くの場合は自分自身のためなんでしょうけど、それではいけないと思います。
「クローゼットを洗面所に設置したら家事が楽ですよ!!」
なんて事で洗面所に作ったクローゼット。
実際に洗濯物を干してたたんで収納するには便利な場所です。
が、梅雨時期は困った事が起きます。
それは「衣類に生えるカビ」の問題です。
長雨が続くとどうしても家の中の湿度が上がります。
湿度と温度のバランスが良いとカビが発生します。
クローゼットは多湿になり、衣類はカビだらけ!!
すぐに気が付けばまだいいでしょうが、気が付かぬまま時が過ぎたとなれば大変です。
虫が来る。大事な洋服に穴が開くって事になります。
そうしないためには「調湿できる内装材」って事が大事になるわけです。
温度が高くても湿度が低いとカビは生えません。
湿度をコントロールできる材料がクローゼットの中の衣類を守ると言っても良いでしょう。
世の中には色々な「調湿する内装材」が有ります。
それの何を使うか??その判断は難しいですね。
調湿と言っているけど吸うだけ吸い込みださない物の方が多いからです。
「だったら湿度が低くて良いのでは??」ってなります。
でも、吸い込んだ水分が腐る。
するとどうなるか??変な匂いがしてくることになる。
今度はこれが問題になります。
エッグパルプは湿気をちゃんと吸ったり吐いたりをして適度な湿度に調整してくれます。
なので安心ですね!!
クローゼットを湿気の多い水周りに配置する場合は、調湿できる内装材か除湿器みたいな機械で調整できるもので処理しておかないと衣類が大変な事になるという事は頭に入れておく事が大事です。
機械でやると電気代が発生しますからそこも考えておく事ですね。
内装材でちゃんと調湿できるのはエッグパルプがベストです。
運の良い事に「消臭効果」も付いてきますからね!!
クローゼットの設計は湿度の事をよく理解できている建築士としないと大切な衣類を台無しにする可能性が有りますから要注意ですね!!